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NVIDIA と BMW、現実世界と仮想世界が融合された未来の工場を実演

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人と機械をまったく新しい形で融合させる「デジタル ツイン」、それが未来の工場の姿です。

NVIDIA の 創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) は、GTCの基調講演のデモンストレーションの中で、現実と仮想現実、ロボティクスとAI をを融合しながら運用している BMW の自動車工場を紹介し、製造業における輝かしい未来のビジョンを語りました。

フアンは、NVIDIA が開催した GPU Technology Conference における自らの基調講演で、「NVIDIA は BMW と手を取り合い、未来の工場を創造しています」と話しました。

さらにこのデモでは、一般提供が予定されている NVIDIA Omniverse Enterprise も紹介されました。NVIDIA Omniverse Enterprise は、世界中に分散した 3D デザイン チームが、共有の仮想空間でソフトウェア スイートの違いを越えてリアルタイムに共同作業が行える、初めてのテクノロジ プラットフォームです。

AI ファクトリーのデモでは、Omniverse 内で動作する NVIDIA テクノロジ スイート全体が紹介されました。これには、ロボティクスを支える NVIDIA Isaac プラットフォーム、NVIDIA EGX エッジ コンピューティング プラットフォーム、さらに GPU を活用するソフトウェア ディファインド 5G ワイヤレス無線アクセス ネットワークを工場に展開するための NVIDIA Aerial ソフトウェア開発キットなどがあります。

「世界最大のカスタム製造会社」

BMW 組み立てシステムのデジタル ツイン内景。Omniverse を活用して工場全体がシミュレートされています。

BMW の工場では、製造ライン当たり最大 10 種類の車種を生産可能です。このことが顧客にもたらす豊富な選択肢が BMW の強みとなっています。

BMW には 40 種類以上のモデルがあり、車両ごとに 100 種類以上のオプションを選ぶことができます。 BMW の車両 1 台が新たに生まれるとき、そこには 2,100 通りもの組み合わせ方があります。

フアンも講演の中で「BMW は、世界最大のカスタム製造会社である」と語っています。

BMW AG の役員を務めるミラン ネデリコヴィッチ (Milan Nedeljković) 氏は、これらの車両は、全世界に展開された 31 の工場で製造されていると説明しました。

人間が体を動かし、部品組み立てのラインを調整

フアンとネデリコヴィッチ氏が BMW 工場のデジタル ツインを呼び出すと、完全に同じ動きをするロボット群が組み立てる、輝きを放ついくつもの自動車が、またたく間に画面に広がりました。これらはすべてシミュレーションによる風景です。

BMW のグローバル チームが BMW の工場を設計または再構成する場合、Revit、CATIA、その他ポイント クラウドなど異なるソフトウェア パッケージを使用しながら共同作業を進め、工場の設計や配置を 3D で検討できます。すべての変更点はリアルタイムで可視化されます。これを可能にしているのが Omniverse です。

「完璧なシミュレーションを行うことができるので、BMW の計画プロセスに革命をもたらしました」とネデリコヴィッチ氏は語ります。

こうした作業は、現場で行う必要がある場合もあります。新車種の発売に対応するため BMW の工場では定期的に構成変更が発生しますが、Omniverse があるおかげで作業員の出張は必要ありません。

ネデリコヴィッチ氏は、それぞれ地球の別の場所にいる BMW の 2 人のプランニング担当者が、Omniverse で新しいラインをテストする様子を見せてくれました。

そのうち 1 人は、まるで時空が歪んだかのようにシミュレートされた組み立てラインに仮想的に移動し、モーション キャプチャ スーツを着て作業の動きを記録します。

もう 1 人はリアルタイムでライン設計に調整を加えます。

ネデリコヴィッチ氏は「この共同作業によって、エルゴノミクスや安全性を考慮しながらラインが最適化されていきます」と語りました。

「次のステップでは、このような操作をシミュレーションで大規模化して再現することを目指します」(ネデリコヴィッチ氏)

Omniverse におけるワークフローのシミュレーションでは、人間の作業員から取得されたデータでデジタル ヒューマンをトレーニングし、シミュレーション内の新しいワークフローのテストに投入して、作業員のエルゴノミクスや効率性を検討します。

フアンは次のように述べています。「それこそまさに NVIDIA がシミュレーション用のデジタル ヒューマンに力を入れている理由です。デジタル ヒューマンのトレーニングには実際の作業員のデータが使われています」

シミュレーション内の新しいワークフローのテストにデジタル ヒューマンを投入することで、作業員の人間工学や安全性の向上に努めています。

BMW の工場では、作業員 5 万 7,000 人がロボットと職場を共有しながら作業を効率化しています。

ネデリコヴィッチ氏は、BMW の工場配置が変更された場合も、Omniverse があることでロボットはすばやく適応できると語ります。

「BMW では、ロジスティクスを担当するインテリジェント ロボットを配置して、製造工程の資材の流れを改善しています。その基盤にあるのが NVIDIA Isaac ロボティクス プラットフォームです」(ネデリコヴィッチ氏)

年間 250 万台を生産、その 99% がカスタム製造という BMW にとって、この俊敏性は欠かせません。

フアンは、Omniverse が合成データの生成とドメインのランダム化に NVIDIA Isaac を使用していることが、機械学習を起動するための鍵だと語ります。

「Isaac Sim によって、関連する合成画像を数百万枚も生成し、ロボットの学習環境を変化させることができます」(フアン)

「ドメインのランダム化により、写真のようにリアルなオブジェクト、テクスチャ、方向、照明条件を、無限に配列して生成することができます」(フアン)

「検出、セグメンテーション、奥行き知覚のどれにおいても、完璧なグラウンド トゥルースをシミュレーションが提供できます」(フアン)

フアンとネデリコヴィッチ氏からは、BMW 従業員が工場作業を監視している様子も紹介されました。作業員は Omniverse 内でさまざまな仕事をさまざまなロボットに割り振り、工場全体に配置されたセンサーによって更新される進捗を、現実のようなデジタル ツインで確認することができます。

NVIDIA Fleet Command ソフトウェアにより、作業員は工場内のロボットその他の機器に安全に編成できるとフアンは説明します。

作業員たちは、複雑な製造セルをリアルタイムで監視し、ソフトウェアを無線で更新し、工場内のロボットを任務に就かせることができます。

人間がロボットを助けることもできます。管理室がアラートを受け取ると、BMW の作業員がロボットを遠隔操作し、カメラで確認しながら 5G 接続を介してロボットを誘導します。

作業員がボタンを 1 回押せば、ロボットは自律操作に戻ります。

継続的改善を、継続的に実践していく

Omniverse によって計画時間が短縮され、柔軟性と正確性が向上したことで、BMW の計画プロセスは 30% 効率化される見込みです。

ネデリコヴィッチ氏は、「NVIDIA Omniverse と NVIDIA AI により、BMW の製造ネットワークを構成する 31 の工場にシミュレーションを導入する道が開けました」と述べました。

「作業員、ロボット、施設建物、組み立て用部品など、包括的な工場モデルに関わるすべての要素をシミュレートすることで、バーチャルファクトリー計画、自律型ロボット、予測保守、ビッグ データ分析など、AI を必要とするユース ケースに幅広く対応できるようになります」(ネデリコヴィッチ氏)

「数々の新たなイノベーションを実現して、計画に費やす時間を短縮し柔軟性と正確性を高めることで、最終的には計画プロセスを 30% 効率化できると考えています」(ネデリコヴィッチ氏)

その結果、私たちが目にするのは、美しく組み上げられた新車です。最先端の BMW モデルは、現実世界のあらゆる動きを取り込んでデジタルの世界に反映し、デジタル世界の情報を現実世界に反映できる、最先端の工場から生まれます。


Brian Caulfield

Brian Caulfield edits NVIDIA's corporate blog. Previously, he was a journalist with Forbes, Red Herring, and Business 2.0. He has also written for Wired magazine.

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